睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、男性で肥満の人が中心にかかる、
日中眠くなるだけの病気と誤解していませんか?
睡眠時無呼吸症候群は、女性にもなる可能性があり、
心不全・脳卒中・糖尿病など万病の元にもなる大変危険な病気です。
気がつかずにそのまま放置していると、
無治療の中・重症患者は8年で37%死亡しているといいますから、
ただごとではありません!
睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは?
睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは、
眠っている間に頻繁に呼吸が止まってしまう病気です。
一時的に止まった呼吸は、しばらくすると再開しますが、
呼吸が止まったり、再開したりを繰り返すため、
眠りの質が悪くなり、日中に猛烈な眠気を感じるなど
様々な問題を引き起こします。
また、寝ている最中は酸欠状態が続き、高血圧の状態になるため、
・心筋梗塞 4倍
・脳血管障害4倍
・心臓冠動脈障害 3倍
などと、合併症のリスクが格段に高くなります。
そのため冒頭で紹介したように、
無治療の中・重症患者は8年で4割近くの方が亡くなってしまいます。
睡眠時無呼吸症候群の原因は?
1番の原因は肥満です。
太ると、首やのどの周りに脂肪がつき、
普段から気道がそれにより、狭くなってしまいます。
しかも、仰向けに寝ることで、気道が更に圧迫されますので、
睡眠時にますます自然な呼吸がしにくくなります。
しかしそれだけではありません。
日本人は骨格の問題で欧米人に比べて少し彫が浅くて、
のぺっとした顔をしているため、顎が小さくなっている人が多くなっています。
顎が小さいひとは、気道が狭くなりがちですので、
女性や、やせている人でも油断はできません。
推定患者数は国内の推定患者は200万人~300万人ですが、
予備軍を含めると1千万人以上いるとの指摘もあります。
しかし、医療機関で受診しているのは十数万人にすぎません。
痛みなどがないため、病気のリスクについて油断しているので
受診のタイミングが遅れがちです。
目安となる症状は?
・睡眠時に、いびきを大音量でかく
・睡眠時に、無呼吸の状態から「カッ!」とか「クッ!」とか言って息をし始める
・息が苦しくて目が覚める
・なんども目を覚まし、トイレに行く
・日中に眠気や疲労を覚える
上記に当てはまる場合は、
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の可能性があります。
検査方法は?
自宅でできる手軽で人気の方法として、
一般財団法人運輸・交通SAS対策支援センターが行っている
簡易型検査装置によるスクリーニング検査があります。
費用は7000円程度ですので、
気になる方は、申し込まれてはいかがでしょうか。
もちろん一般の呼吸器内科・耳鼻科でも検査してもらえますよ。
治療方法は?
・マウスピース治療
・CPAP(シーパップ)治療
の主に2種類の治療があります。
マウスピース治療は、
軽度の睡眠時無呼吸症候群(SAS)と診断された方に主に用いられる治療法です。
専用のマウスピースを睡眠中に装着します。
マウスピースを装着し、下顎が出た噛み合わせとすることで、
舌がのどの奥に落ちることを防ぎます。
CPAP(シーパップ)治療は、
中度・重度の睡眠時無呼吸症候群(SAS)と診断された方に多い治療法です。
睡眠中に装着した鼻マスクを装着することで、気道に圧力を加えて空気を送り込み、
気道の無呼吸を防ぐ治療法です。
CPAPは、使い始めは外見から抵抗感がありますが、
ほとんどの患者さんにすぐに効果があり、
日中全く眠く無くなるなど、改善効果が期待できます。
CPAPを利用することで症状が改善し、
死亡率が大幅に低下することが分かっています。
おわりに
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は決して侮ってはならない
大変危険な病気だとお分かり頂けましたでしょうか?
少しでも兆候がありそうな方は、ぜひ一度検査される
ことをおすすめいたします。