大枚はたいて購入するオメガ。
もちろん、デザインや外装の質感などをチェックすることも大切ですが、せっかくオメガですので、時計のムーブメントにもこだわりたいものです。
実はオメガは、シーマスター、スピードマスターなどの各モデルの中でも、様々な時計ムーブメントを採用しています。
そんな知られざるオメガのムーブメントについて理解を深めることで、時計を購入する楽しみが広がりますよ。
オメガのムーブメントを製造する会社は3社ある
オメガが所属するスウォッチグループには、時計のムーブメントメーカーが主に3つあります。
スウォッチグループは、時計のムーブメント会社間に格付けを設定することで、時計の希少性や特別感を演出しようとしました。高級品のムーブメントを製造するフレデリックピゲ、中級価格帯のレマニア、普及品のETAです。
オメガはこれら3社からムーブメントを調達後、独自に改良してムーブメントを完成させています。
それでは、それぞれの特徴を解説します。
高級ムーブメントのフレデリックピゲ
フレデリックピゲは、スウォッチグループの最高級ブランドであるブランパンなどが採用しているムーブメントを製造しています。
長い歴史を持つムーブメントメーカーですが、2010年ブランパンの1部門として吸収合併されました。吸収合併前から、時計メーカが集中するスイスのジュラ渓谷で敷地もブランパンの隣にあったりと、深い関係性がありました。
フレデリックピゲは歴史的にとても優れたクロノグラフムーブメントを作るメーカで、ロレックスが現行品のデイトナムーブメントを自社開発した際に、かなり参考(ぱ◯った?)にしたメーカーです。
日本初のクォーツショックで倒産状態にあったブランパンに、超複雑ムーブメントを供給して復活させたりと、昨今のスイス機械式時計復活の立役者的な企業と言っても過言ではありません。
そんなフレデリックピゲのムーブメントを、オメガではスピードマスターブロードアローで採用しています。
実はこれはかなりすごいことで、ブランパンでは約150万円はするのが、オメガだと半額以下の50〜70万円程度で買えます。
時計好きなら、シースルーの裏蓋から覗けるフレデリックピゲ社製のムーブメントを見ながらワインをちびりと飲む夢を、1度は見たことはあるんではないでしょうかw
ムーンウオッチのムーブメントを製造したレマニア
現在のレマニア製ムーブメントは、スウォッチグループではブレゲなどが主に採用しています。現在は、スウォッチグループの高級ブランド、ブレゲの1部門として吸収合併されています。
アポロ計画で採用されたムーンウォッチは、レマニア製のムーブメントが採用されたオメガスピードマスタープロフェッショナルでした。
現行品のスピードマスタープロフェッショナルも、レマニア製ムーブメントを採用しています。
現行品とは言えムーンウオッチに近い時計が欲しい場合は、スピードマスタープロフェッショナルのプラスチック風防の裏蓋シースルー無しモデルを選べばアームストロング船長になった気分を楽しめます。
普及しすぎて面白くない?抜群の安定感のETA
ETA製ムーブメントはオメガのクォーツモデルや、その他の比較的安価なモデルに採用されています。
ETA社のキャリバー2824、キャリバー2894、クロノグラフではキャリバー7750は、スウォッチグループ以外にもカルティエやフランクミュラーなどの高級ブランドにも広く採用されていますし、パネライなども、懐中時計に使われていたような古いムーブメント(ユニタス)を、ETA社から現在も仕入れています。
ETAムーブメントは、安定感やメンテンナンス製、コストパフォーマンスにとても優れたムーブメントですが、とても広く流通しているため、希少価値に欠け面白みに欠けるムーブメントと言われています。
というよりも、現在のETA社は、バルジュー、フォンテンメロン、プゾー、ユニタス、ヴィーナスなどなど、約20社のスイスムーブメントメーカーを吸収合併してきた歴史がありますので、ムーブを自社開発していない時計メーカーは、ほぼETA社からムーブメントを仕入れる必要があります。(中にはセリタ社など、ETAの特許切れのムーブメントを製造している会社もありますが、品質はあまり良くありません)
そのため、ムーブメントにこだわる時計マニアからは、ETAムーブメントを搭載している時計を『ETAポン』と揶揄します。
ETAムーブを使用している各メーカーは、ETA社から仕入れたムーブメントを改良して独自にカスタマイズしていることを主張していますが、自動巻きローターをプラチナ製に交換した程度に留まるフランクミュラーの様な時計もあれば、IWCやノモスの様にかなり独自のカスタマイズをしているブランドもあったりと様々です。
ちなみに、オメガスピードマスターの自動巻きクロノグラフモデルはETA7750を採用しています。少し自動巻きが巻き上がりにくい欠点はありますが、とても使いやすいモデルと言えます。
ただし最近のETA社は、コーアクシャル機構を搭載したムーブメントや、超耐磁時計で話題となった『シーマスター アクアテラ 15000ガウス』などをオメガと共同開発してムーブメントを供給するなど、ロレックスと並びスイス時計界の最先端にいます。
これらのオメガとETAの取り組みは、機械式時計の歴史すら変えるものですので、『しょせんETAポンでしょ』とは一概に言えなくなってきました。
メンテナンス費用はETA製がお得!
ETA製ムーブメントのパーツは入手が容易ですので、修理やオーバーホール時に街の時計屋修理工房に依頼すれば、安価にオメガのメンテナンスがしてもらえます。その点、部品のパーツが高くて入手しにくいロレックスは対照的です。
⇒オメガのオーバーホール!費用を3割は安くするコツやメーカー正規修理のメリット・デメリットを解説!
そのため、ムーブメントに思い入れが無い機械式時計初心者の人は、同じオメガを買う場合でもETA製ムーブメントを買えばお財布に優しいと言えます。
おわりに
今回は、時計のムーブメントメーカーに焦点をあてて解説しました。
結局時計は趣味の問題ですので、自分の好みで買うのが1番ですが、中のムーブメントがどの会社製かによって、ある程度のグレードは分かるようになって来ますし、選ぶ楽しみも増します。
時計を見る際の参考にして下さいね。