オメガなどの高級腕時計オーナーにとって悩ましい問題は、オーバーホール(分解掃除)などの定期的なメンテナンスをどうすれば良いのかという事です。

過去のエントリーで、

ロレックスのメンテナンスや、

オーバーホールのタイミングはいつが良いのか

などについて書きましたが、今回はオメガのオーバーホール(分解掃除)について解説したいと思います。

  • オメガのオーバーホール費用はいくら程度なのか?
  • 依頼先は、オメガでの正規メンテナンス
    一般時計修理工房のどちら良いのか?
  • オーバーホールの依頼はどうやってするのか?

などなど、オメガを長く愛用するために必要な情報を、メリット・デメリットを踏まえながら詳しく解説します。

オメガ・スピードマスタープロフェッショナル

オメガの正規メンテナンスを受ける場合のメリット・デメリット

オメガの正規オーバーホールを受けるメリットと依頼方法は?

オメガのメーカーであるスウォッチグループにオーバーホール(分解掃除)を依頼することで、メーカー正規のメンテナンスを受けられる安心感はあります。

これはやはり、最大のメリットと言えるでしょう。

ちなみに、スウォッチグループへの依頼方法ですが、デパートなどでオメガのオーバーホールを依頼すると手数料が発生して価格は割高になります。

そのため、下記のスウォッチグループ指定のカスタマーサービスまで、直接持ち込む方がお得です。

スウォッチ グループ ジャパン カスタマーサービス一覧

また最近では、スウォッチグループでは有料ですが、郵送での修理対応をするようになりました。

オメガも当然ですが、サポートしてもらえます。

このようなサービス導入は、スウォッチグループはオメガのオーバーホールをできるだけ自社対応で行いたいという意向の表れとも言えます。

少し余談になりますが、元々オメガは、1970年代のクォーツショック以前から革新的な技術を取り入れることに積極的なメーカーでした。

特に、ここ最近のオメガの機械式ムーブメントは、他ブランドとの差別化を図るため、コーアクシャル機構や、MRIクラスの超磁力にも耐えられる超耐磁時計など革新的な独自技術を時計に盛り込んでいます。

これら技術に対するオメガの取り組みは、ロレックスやセイコー以上とも言え、さすがスイスが誇るスウォッチグループの基幹ブランドというだけあります。

そのため、年配の職人さんがコツコツ修理しているような、小さな時計修理工房にオメガのオーバーホールを依頼するには、設備面や部品の供給に若干不安があります。

例えば防水検査1つとっても、シーマスターの防水性を保証するための検査機械を導入するには100万円単位の費用がかかりますので、小さな時計屋さんの資金力では機械を導入できません。

また、オメガの純正パーツにしても、最近のオメガは部品をほとんど一般時計店に供給しなくなっているので、時計修理工房が独自のルートで取り寄せる必要があり、在庫も一定量必要です。

ここでも資金力が必要になってくるわけです。

つまり、ほんの十数年前までは町の時計屋さんで対応可能だったオメガのメンテナンスが、メーカー以外では対応してもらえなくなりつつあるんです

そのため、オメガのメンテナンスをどこに依頼して良いか、分からないオーナーさんにとっては、スウォッチグループのオメガのオーバーホール正規対応は、やはり安心感があると思います。

オメガ正規オーバーホールを依頼するデメリットは?

そもそも、オメガのメーカーであるスウォッチグループのオーバーホール基本料金は高い上、すぐに部品交換されるなどして、修理費用がかさみがちです。

以下はオメガの料金表ですが、状態にもよりますが、毎日オメガを着用していてオーバーホールを4年以上していない場合は、部品代がかかりますので、基本料金に加えて+2万円程度の価格はすると思った方が良いです。

オメガのオーバーホール料金表

基本料金+部品代を考慮すると、クロノグラフのスピードマスターなら7〜8万円ほど、シーマスターやデビル、コンステレーションなどは4万円台〜5万円ほどかかる計算になります。

ただシーマスターは、竜頭周りのネジが摩耗していている事が多く、その場合、オメガ正規の修理費用は5万円以上かかります。

中には、防水性の低下を理由にケース交換を求められ、中古のオメガが買えるオーバーホール料金になる事も・・・

その他にも、機械の構造が複雑でオーバーホールに手間がかかるスピードマスターなどのクロノグラフは昔に比べて明らかに部品交換の頻度が高くなっており、オーバーホール価格も高額になっています。

悪い見方をすれば、オメガのサポート部門の経費節減のため、手間のかかる修理対応をしないで、すぐにパーツ交換して修理代をオーナーに負担させていることは否定できません。

スウォッチグループにとってみれば、摩耗したパーツを再生させるより、部品交換した方がサポート対応での売上になりますし、人件費の節約になりますからね・・・

時計の機能維持という点では、パーツ交換した方が良いかもしれませんが、最近のオメガはオーバーホールにかかる修理代が高すぎるという意見は多いです。

また、スウォッチグループジャパンの修理体制は、日本ロレックスの修理対応に比べて明らかに劣っています。

(と言うよりも、日本ロレックスの技術力が高いです)

スウォッチグループは提携している外部の時計修理店に、オメガなどのメンテナンスを一部外部委託していますが、自社で時計師をしっかり雇用している日本ロレックスに比べて、何だかな〜という印象はあります。

東京と大阪のカスタマーサービスは直営ですが、札幌、名古屋、福岡などのサービスセンターは、オメガの正規指定とは言え、あくまで別会社です。

時計師を自社で全て抱えると、固定費がかかりますので、経営上合理的と言えるのかもしれませんが・・・

もちろん研修などで一定のレベルを保っており、オメガのメーカー保証がつくとは言え、だったら、オメガ純正部品を保有している一般の修理工房と、実質的に何が違うの?

という気がします。

そのため、オーバーホールを担当する時計師によっては、正規修理に出したのに依頼したオメガの文字盤に傷を付けられた、精度が落ちて時計が帰ってきたなど、トラブルも散見されます。

価格ドットコムでも、オメガシーマスターのオーバーホール対応で評判になっていますね。

価格ドットコム オメガサポート口コミ

正直、スウォッチグループに正規メンテナンスを依頼してもオーバーホール後の不具合による再修理率は一般の時計修理工房とほとんど変わらない気がします。

ケース研磨も、日本ロレックスなら専用の職人がピカピカに仕上げます。

しかし、オメガのメーカー対応はライトポリッシュ程度で、ロレックスみたいにしっかり研磨してもらうには追加料金が必要です。

(研磨技術もバラツキがありますし・・・)

そのため、管理人の個人的な意見ですが、所有者さんが信用のおける時計修理工房を知っている場合は、オメガのオーバーホールをメーカーに正規依頼するメリットは、ほとんどないと思います。

安心料にしては割高かと・・・

一般時計修理店にオメガのメンテを依頼するメリット・デメリット

では、一般の時計修理工房に、オメガをオーバーホールに出す場合の、メリット・デメリットについて考えてみたいと思います。

一般時計修理工房にオメガのメンテを依頼するメリット

オメガのオーバーホールを一般の時計修理工房に依頼するメリットは、安くオーバーホールを済ますことができることに尽きます

スウォッチグループによる正規サポート対応の値段が5万円だとしたら、一般の修理工房は大体3万円台が平均的なオーバーホールの価格ですので3割程度は費用を安く済ませることができます。

一般時計修理工房にオメガのメンテを依頼するデメリット

上記でも、述べましたが、最近のオメガの機械式ムーブメントは、コーアクシャル機構などの独自技術を時計に盛り込んでいます。

そのため、古い時計屋さんではオメガ純正部品の入手や、設備面で修理対応出来ない場合があります。

ただ日本の時計師の技術は、世界的に見てかなり評価が高く、スイス人時計師も驚くような技術を持つ時計師も多くいますので、オメガのオーバーホールが対応可能な時計修理工房はまだまだ沢山あります。

どこにオメガのメンテを依頼すれば良いの?結論!

割高だけど安心のためにオメガ正規のメンテナンス受けたい場合は、スウォッチグループにオーバーホール(分解掃除)を依頼することをおすすめします。

安くしっかりオーバーホール対応してくれるなら、メーカー対応で無くても良いという人は、一般の時計修理工房に依頼したほうが良いでしょう。

オメガの正規メンテナンスは、一般の修理店と比べて技術力は大して変わりませんので・・・

ちなみに管理人の懇意にしている時計屋さんは千年堂です。オメガの純正部品・工具を抱えている、一級時計師が対応してくれます。

下記リンク先で無料の郵送パックを請求すれば簡単に時計を送れて、費用を見積ってくれます。

キャンセル時も無料なのが嬉しく、個人的におすすめのお店です。

▼千年堂
時計修理の千年堂

オーバーホール(分解掃除)をどこに依頼するか考えるのは、費用はかかりますが、楽しみとも言えます。

安心感でメーカーに正規修理を依頼するのも良いですが、一般の良い修理工房を探す方が、楽しいですしお得ですよ。