時計を買うとき時に注意したいのが、外観だけでなく内部のムーブメントにも違いがあるということです。オメガやグランドセイコーなども、機械式モデルと、クォーツモデルがありますよね。

腕時計は大きく分けて、ゼンマイで動く機械式時計と電池で動くクォーツの2種類に分けることができます。

機械式時計とクォーツ時計、それぞれの良さがありますので、特徴とメリット・デメリットについて解説してみたいと思います。

 

ムーブメントの基礎知識

クォーツムーブメントとは?

クォーツ時計は、電池と電子回路動く時計です。

クォーツ時計は、針が1秒毎に進むのが特徴で、耳に当てるとチッ,チッと1秒毎に音がします。

裏蓋を開けるとこんなムーブメントが入っています。写真はスイスETA社のムーブメントです。

 

クオーツムーブメント

 

現在、クォーツムーブメントを製造している国はスイスと日本のメーカーのみになっています。工場で大量生産しますので、1個あたりの製造原価は大変安くなります。日本のmiyota製のムーブメントは数百円で入手可能です。

使い捨てとまでは言いませんが、回路が死んでしまったら、回路を交換する他に修理の方法はありません。

問題なく利用しても、だいたい10年ほどで電子回路がやられます

オメガなど高級時計メーカーは電子回路の交換に応じてくれる可能性がありますが交換費用に数万円はかかりますし、下手をすれば修理不能になって帰ってきます。

クォーツで20年以上使うことはかなり難しいと言えますね。

 

機械式時計ムーブメントとは?

機械式時計はゼンマイで動く、昔ながらの時計です。

機械式時計の見分け方は、耳に当てて見ると、「チチチ」とクォーツに比べて音が早くて大きかったりしますし、時計を動かさずに放って置いておくと、2日もすれば動きが止まります

女性用の宝飾時計は別ですが、50万円以上のメンズ腕時計のほとんど全ては機械式時計です。

写真はロレックスの機械式ムーブメント cal 3136の自動巻きローターを外した所です。

ロレックスのムーブメント Cal.3135

置き時計や懐中時計も含めると、機械式時計の歴史は数百年にもなります。西欧人は数百年間、初めは置き時計から腕時計へと少しづつ機械式時計を進化させていきました。

精度や耐震性こそクォーツに叶いませんが、機械式時計を所有することで、夢やステイタス性を感じることができる気がします。

 

ただ機械式時計は、クォーツに比べてとても繊細な時計なので、取り扱いにとても注意を要します

写真下部に写っている円の様なパーツ(テンプ)の中心にある、天真と呼ばれるパーツが髪の毛よりも細い繊細な部品で、チョットの衝撃で簡単に折れてしまうんです。

1950年以降の機械式時計は天真を保護するインカブロックなどの耐震装置がほとんどの時計に取り付けられるようになってずいぶん衝撃に強くなりましたが、現在でも時計を着けたまま、ゴルフや野球をすれば簡単に時計は故障してしまいます。

機械式時計の中でもダントツに頑丈なロレックスでも、一般の1,000円クォーツに比べたらはるかに繊細な時計ですので、初めて機械式時計を扱うには取り扱いに注意が必要です。

 

もちろん維持コストもクォーツに比べて機械式時計は割高です。

機械式時計は3~5年ごとにオーバーホールすることが部品の摩耗防止のために必須になりますが、その際に数万円は必要になって来ます。

ただし、機械式時計がクォーツ時計に比べて比較的有利な点は、適切に使用すれば、数十年は利用できる事です。

ロレックスはムーブメントの生産終了から30年はメーカー対応保証していますし、オメガも1950年代の時計の修理を現在も受付けています。

また、パーツが流通しているか自作するか、などによって金額に差がありますが、機械式時計なら民間の時計業者でもほとんど修理対応が可能です。

つまり高級機械式時計ならば、購入後30年以上は利用可能ということになります。

自分の子供に愛用のロレックスを譲りたい!っていう願いが、機械式時計なら可能になるわけです。ロマンがありますね。

 

ちなみに機械式時計は、腕の動きで自動的にゼンマイが巻き上がる自動巻時計と、手で毎日ゼンマイを巻く必要がある手巻時計の2種類があります。

ロレックスのムーブメントは、ほとんど機械式の自動巻時計ですね。

その他のメーカーでも冠婚葬祭用の薄型時計を除き、現在の機械式時計の主流は自動巻式になります。

 

クォーツ式時計のメリット・デメリットは?

クォーツ時計のメリット

  • 機械式時計に比べて格安
  • 高い精度、対ショック性能
  • メンテナンス費用が安い

 

クォーツ時計もオメガなどのブランド物から、1,000円で売っているノンブランド時計など幅広い価格で売られていますが、一般的に機械式時計に比べて格安です。

オメガはクォーツと機械式両方販売している時計メーカーですが、同じオメガ アクアテラでもクォーツモデルは機械式モデルに比べて約半額の値段となっています。

グランドセイコーでも、クォーツモデルの方が割安です。

 

またクォーツの精度は、1,000円で売っている時計でも月差±20秒の誤差しかありありません。

機械式時計が日差±10秒が当たり前なことを考えると、クォーツの精度は圧倒的です。

耐衝撃性も機械式は2mの高さから落とすとほとんど故障しますが、クォーツは1~2mから落とした程度の衝撃で壊れることは稀です。

 

最後に、メンテナンス費用ですが、クォーツの部品のメンテンナンス費用は機械式時計に比べて割安です。

5年で1~2回電池交換したとしても、費用は数千円程度におさまりますが、機械式時計はオーバーホール代として数万円かかります。

 

クォーツ時計のデメリット

良いことばかりのクォーツですが、デメリットももちろんあります。

  • 面白みがない
  • 時計の寿命が10年ほどと短い

 

クォーツは、味気なくて面白くないと言う意見があります。

最近は高級時計は、機械式が多くなっていますので、個性的な時計を探したら自然と機械式時計に行き着く場合も多いですね。

また、電子回路の寿命が時計の寿命ですので、平均10年程度で時計は使えなくなります

回路交換等で対応可能な場合がありますが、新品を買ったほうが安くなる場合が多いです。

 

機械式時計のメリット・デメリットは?

機械式時計のメリット

  • 趣味性が高くステイタスがある
  • 寿命が数十年単位と長い間使える

 

50万円以上の高額時計は、ほとんど機械式時計ですので、当然ながら高いステイタス性と趣味性があります。

また、一部の摩耗しやすいパーツさえ定期的に交換すれば、機械式時計は、数十年に渡って利用することができます。

ただ正直、機械式時計を毎日使用して50年持つかと言うと難しい所ですので過度の期待は禁物です。

かなりの時計が、長期の使用でケースや機械が錆びますが、錆びると修理不能か、新品を買った方が安くなりますので、時計の寿命はガクンと短くなります。

それでもクォーツの寿命が10年程度に比べたら、機械式時計の寿命は比較的長いのは事実です。

 

機械式時計のデメリット

  • 価格が高い
  • メンテナンス費用
  • 繊細で衝撃に弱い
  • ゼンマイが2日持たない

 

機械式時計がクォーツに比べて割高なのは前述のとおりです。

オメガの同モデルでも、クォーツに比べて機械式時計は倍の価格です。また、メンテンナンス費用も3〜5年に数万円と馬鹿になりません。

機械式時計は利用上も注意が必要で、机から落としただけで簡単に時計が止まってしまい、修理に数万円かかります。

また、ゼンマイの持続時間が2日間ありませんので、金曜日に時計を外して、月曜の朝まで放置していたら時計は止まっています。

時計を何本を持っている人は、手巻きでゼンマイを巻き上げるか、その都度、時計の時刻合わせをする必要があり面倒です。

つまり、繊細に扱ってあげて、かまってあげないと壊れたり、止まったりしますので、そこがカワイイと愛着を持てる人でないとダメということです。

 

抑えておきたい時計の歴史  クォーツの登場と機械式時計の凋落と復権

少し余談になりますが、クォーツと機械式時計の違いを理解するために必要な時計の歴史について解説します。

クォーツ式ムーブメントは1969年に日本のセイコーが初めて実用化に成功しました。

それまで腕時計といえば当然機械式時計でしたので、驚異的なクォーツの精度と量産性により、あっという間にスイスの高級時計メーカーが倒産していきました。

 

この出来事を、時計の世界ではクォーツショックといいます。

 

しかし1980年以降になると、クォーツ時計は量産により価格が低下していき、それに伴い機械式時計の芸術性と、ステイタス性に注目が集まるようになりました。

日本でもバブル期以降、ロレックスの人気が不動になりましたが、ロレックスは1950〜70年代は売れない一時計メーカーでしかありませんでした。

現在では、機械式時計は完全に復権していますが、各時計メーカーは何らかのグループに統合・吸収合併されグループを形成しています。

ロレックスは単独メーカーですが、オメガ・ロンジンなどのスウォッチグループや、パネライ、モンブランなどのリシュモングループなどが代表的なグループです。

 

時計の製造と販売をグローバルに行うには、1時計メーカーでは難しくなってきたということですね。

ただし、機械式時計の価格は近年急騰しています。ゼニスやブライトリングなどは、10年前の約2倍の価格になっています。

機械式時計にそこまでの価値があるのかと言われると、悩ましい所ですが、逆にステイタス性が強調されるようになって現在に至ります。

 

おわりに

今回は機械式時計とクォーツ時計のメリット・デメリットを解説しました。

スマートフォンで時間がわかる今、時計は完全に趣味の世界になっています。

クォーツ、機械式ともにそれぞれの良さがありますので、自分にあった時計を楽しんで購入して下さいね。